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カイロプラクティックとは?

人の背骨を触る療法は、いつから始まったのでしょうか?

 

人類最古の文章“パピルス”には、「手を用いて背骨を刺激して病を治す術」というのが書かれており、

 

古代の人々は、人の背中をさすったり、叩いたり押したりして、痛みを取ったり熱を下げていたと考えられます。

こんな大昔から、「疲れている人の背中をさすって元気にしてあげよう!」という療法があったんですね。

 

 

 

それからぐんと時代は進んで1845年、カイロプラクティックの創始者である

 

D.D.パーマー(ダニエル・デービッド・パーマー)が誕生します。

D.D.パーマー(ダニエル・デービッド・パーマー)
wikipediaより

D.D.パーマーは、41歳まで他の仕事に就いていましたが、

 

手で患部をさする“磁気療法”に出会い、民間療法の治療家として活躍します。

 

 

この頃は痛みや病の治療というよりも、“癒し業”だったので、

 

D.D.パーマーは自分の方に疲れが溜まってしまい、一日中仕事が出来ない状態になりました。

 

 

患部をさするだけでは痛みが取れない、、痛みや病の原因は何か??

 

パーマーは勉強を続けて、

 

「背骨のズレによって、神経が圧迫されて、痛みや病が起こるのではないか?」

 

と、“脊椎神経圧迫説”を提唱します。

 

 

 

当時、神経の流れの理論は、「脳から体の末梢へ一方通行に治る力が流れている」と考えられていました。

 

 

(のちに、末梢→脳・脳→末梢という、求心性と遠心性の神経の理論へと変わりました。)

中枢と末梢神経

パーマーは、背骨のズレによって神経が圧迫され、治る力の妨げになっているのではないか?!と考えました。

 

 

それを決定づける出来事が起こります。

 

 

ある時、パーマーのクリニックが入っているビルの掃除係であるハービー・リラードさんの問診を行い、背骨のズレを調整したところ、

 

なんと、17年間患っていた難聴が改善したというのです…!

 

 

ハービー・リラードさん難聴になったきっかけというのが、

 

シンクの下に首を突っ込んで作業をしていた時に、首元で大きな音が鳴り、それから難聴になったと言います。

首の痛み

問診をして背骨を調べ、変位(ズレ)を見つけて行った初めての脊椎矯正がこの時と言われています。

 

 

この出来事があってから半月後の1895年9月18日、パーマーは定義を発表し、

 

「カイロプラクティック」と名付けました。

 

 

カイロプラクティックは、ギリシャ語のChiro(手)と Prakticos(技術)を合わせた言葉です。

 

 

この名前を考えたのは、サムウェルウィードという牧師さんで、

 

パーマーの患者さんの息子さんだそうです。

 

 

 

 

パーマーは、カイロプラクティックの定義を次のように定めました。

 

 

 

変位(サブラクセーション)が起こっている椎骨を矯正すると、

 

脊髄神経の圧迫が取り除かれ、先天的治癒力が働く。

 

その結果、疾患部分が機能的に器質的に更生される”

 

 

 

サブラクセーションというのは簡単に言うと「背骨のズレ」です。

 

その、サブラクセーションが本来の神経の働きを邪魔しているという考え方です

 

 

 

脳と体の関係を分かりやすく例えた「安全ピンサイクル」というのがあります。

 

安全ピンの端を「脳」、もう一端を「体(細胞)」に例えます。

安全ピンサイクル

↑体の状態が脳に伝わり、脳が体へ指令を送るサイクルがスムーズな状態です。

 

脳からの指令が100%細胞へ伝われば、体は100%の機能する、という考え方です。

 

壊れた安全ピンサイクル

↑体の機能が正しく働かないということは、何かがこのサイクルを邪魔しているということになりますが、

 

パーマーは「サブラクセーション」という椎骨の変位(ズレ)が原因であり、

 

それを除去すれば、脳からの先天的知能(自然治癒力)が100%働くと考えました。

 

 

「痛みの出ているところは基本的には触らず、

 

サブラクセーションを除去して、あとは神経が正常に機能するのを待つ」

 

 

というのが、パーマー系のカイロプラクティックで、“ストレート”と呼ばれています。

 

 

このストレートの考え方で、カイロプラクティックを行っているところは

 

現在では1割ほどと言われています。

 

 

 

D.D. パーマーがカイロプラクティックの定義を発表した後、

 

息子のB.J.(バートレット・ジョシュア)パーマーによって発展させられました。

 

B.J.(バートレット・ジョシュア)パーマー
wikipediaより

D.D.パーマーが創設した“パーマー・スクール・オブ・カイロプラクティック”では、

 

息子のB.J.パーマーと、ウィラード・カーバーの二人が代表となります。

 

 

椎骨のズレ(サブラクセーション)の除去のみを行うB.J.パーマーに対し、

 

カーバーは、「筋肉の緊張が骨のずれの原因である」と考え、

 

脊柱矯正は二の次で、筋肉の調整をまず行うという方法を確立しました。

 

 

 

こうしてカイロプラクティックは、

 

椎骨の矯正によって先天的知能を働かせることに重きを置く“ストレート”のカイロプラクティックと、

 

筋肉や他の組織へのアプローチ、温熱療法・食事療法・体操などを混合する“ミキサー”のカイロプラクティックの、

 

二つの学派に分かれました。

 

 

現在のカイロプラクティックは、9割が後者だと言われています。

 

 

 

 

自然治癒力やバイタリズムといった、形では表現できないようなものと、

 

解剖学や病理学、バイオメカニクス、栄養学などの生物科学。

 

この二つの原理が、カイロプラクティック哲学の元になっていますが、

 

 

それぞれの考え方がより際立って、二極化したという感じになります。

形而上学と形而下学

この二つを完全に分けずに、バランスよく習得できれば良いですが、

 

一般的にカイロプラクティックの学校では、生物科学を中心に学びます。

 

 

 

現在のカイロプラクティックは、より科学的に、メディカルに近づき、

 

アメリカのカイロプラクティック院では店頭で薬を販売しているところもあるそうです。

 

 

約130年前に誕生したカイロプラクティックでしたが、

 

その後、様々な理論が生まれ、

 

それぞれの理論に沿ってテクニック方法が異なり、

 

 

加えて電気治療や栄養・食事、体操などの自然療法が取り入れられる事になりました。

現代医学では、病理学的に問題があった場合に本格的に診察されますが、

 

カイロプラクティックでは、「なんか調子悪いな…」というレベルの体の変化を疾病と捉えています。

 

「病院に行ったけど、特に問題は無いと言われて…」

 

と、仰ってカイロプラクティックを受けに来られる方もたくさんおられます。

 

特に、筋肉や骨格、神経のバランスをチェックしますが、

 

その時に必要なのが、基礎医学的な知識になります。

解剖学教科書

カイロプラクティックの技術を生かすのに、科学的な知識は必須です!!

 

 

でも、その知識をうまく扱うためには、まずその患者さんの全体を見るということが必要になります。

 

 

先天的知能、自然治癒力、生命力の源、、そういう、目に見えないものも尊重するというところが、

 

カイロプラクティックの特徴かなと思います。

“生命のパワー”的なものに偏りすぎるのもアレだなと個人的には思いますが…

 

 

でも、背中をさすって人を元気づけるところから始まったことですから、

 

機械的なことだけでおしまい、というのもなんかちょっと寂しいかな、、とも思います!

 

 

生体力学・バイオメカニクスからのアプローチから得られる新しい知識も必要になるので、

 

カイロプラクティックはこれからも少しずつ進化していくのではないかと思います。

 

 

 

ということで、長くなりましたが、

 

カイロプラクティックが何なのか、少しだけでもお分かりいただければ嬉しいです!