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歩行と足関節

歩行周期の分類

人の脚には、「体重を支える」事と「歩く」という機能があります。

 

「歩く」という動作には、床に足が着いている状態【立脚相】と、床から足が床から離れて前へ振り出されている【遊脚相】という二つの周期があります。

 

歩行周期の60%が【立脚相】で、体重負荷がかかり、歩行の重要な部分になるため、足のトラブルの多くは【立脚相】で起こります。

 

立脚相

【立脚相】は

・踵接地期

・足底接地期

・立脚中期

・趾離地期

に分類されます。

遊脚相

【遊脚相】は

・加速期

・遊脚中期

・減速期

に分類されます。

体重負荷がかからないため遊脚相で足の問題が起こる事は少ないです。

このような歩行周期のもと、上半身からくる負荷や衝撃を足の関節でうまく吸収しながら、私たちは普段何気なく歩いています。

 

デコボコの歩きにくい道でもまっすぐに歩けるように、足関節の動きのメカニズムにはいろいろな特徴があります。

足関節の構造

距腿関節と距骨下関節

こちらは右の足関節を後ろから見た図です。

 

・距腿関節

・距骨下関節

の二段階構造になっています。

距骨下関節の動き

距骨下関節は【回内】と【回外】という動きを行います。

足関節回内

こちらは左足を正面から見た図です。

【回内】は足の裏を外側にひっくり返すような動きです。

親指を外側に向ける【外転】と、足裏を外へ向ける【外がえし】を組み合わせた動きです。

足関節回外

【回外】は親指を内側に向ける【内転】と、足裏を内へ向ける【内がえし】を組み合わせた動きです。

この動きは【内反】とも言われ、一般的に足首の捻挫はこの時に起こる〈内反捻挫〉が多いです。

距腿関節の動き

距腿関節では、つま先を下に向ける【底屈】と、つま先を上に向ける【背屈】という動きが行われます。

足関節の代償運動・随伴運動

足関節が動くとき、いくつかの動きが組み合わさります。

足が宙に浮いているときと、そうでないときで動き方が変わります。

足関節回内に伴う運動

非荷重位での足関節回内
踵骨:外反・外転・背屈

こちらは非荷重位(宙に浮いている状態)の足関節【回内】です。

体重負荷がかかっていない状態では踵骨(距骨下関節)のみが動きます。

 

 

荷重位での足関節回内
踵骨:外反 + 距骨:底屈+内転 + 脛骨:内旋

一方、床に足を着けた荷重位での【回内】は踵骨の他、踵骨の上にある距骨(距腿関節)と脛骨にも運動が起こります。

 

足関節回外に伴う運動

非荷重位での足関節回外
踵骨:内反・内転・底屈

こちらは非荷重位の足関節【回外】です。

非荷重では踵骨のみが動き、他の関節の運動は起こりません。

荷重位での足関節回外
踵骨:内反 + 距骨:背屈・外転 + 脛骨:外旋

荷重位の足関節【回外】は〈内反捻挫〉を起こすときのポジションです。

薄いピンク色で示した距骨が矢印の方向(背屈・外転)へ変位した状態が捻挫の後遺症として残った場合、アジャストメントによって改善できるケースがあります。

以上のようにそれぞれの関節が連鎖的に動き、補正し合うことで足関節はスムーズに動くことができます。

立脚相の足関節

足関節がうまく補正し合っていない状態で歩くと、そこに痛みが生じたり、別の場所が代償的な動きをして、痛みや違和感を感じることがあります。

足のトラブルが起こりやすい歩行の【立脚相】では、足関節が次のように働きます。

踵接地期での足関節

立脚相初期の踵接地期は、上記の「荷重位での回内」にあたります。

踵骨(距骨下関節)は、床からの衝撃を吸収するために緩み、不安定な状態になります。

同時に距骨(距腿関節)は安定し、締まる状態になります。

このように一歩を踏み出した瞬間の踵接地期では、踵骨にかかる負担が最小限になるように働きます。

立脚中期〜趾離地期での足関節

立脚相の後期では、足関節が背屈位→底屈位になります。

荷重位の回内から徐々に回外となり、踵骨(距骨下関節)は締まる状態に・反対に距骨(距腿関節)は緩む状態となります。

このような荷重位・回外の状態で足関節(距腿関節)は不安定になるため、捻挫を起こしやすくなるのです。